【宮城レトロ建築めぐり】青根洋館~川崎町青根温泉

おでかけ

こんにちは!すずき・ちえです。

実はレトロな「建物」や「喫茶店」が大好きな私。
以前から、宮城県川崎町の青根温泉にある、2階建てのレトロな洋館が気になっていました。

周囲に洋風の建物は見当たりません。なぜこの場所に洋館が建っているのか、中はどのようになっているのか知りたくなり、取材に行ってきました。

開湯490年の青根温泉

青根温泉は、開湯から490年あまり(川崎町HPより)の、かつては伊達家藩主の湯治場が置かれた伝統ある温泉地です。

仙台から車で南西方向に車で約1時間ほどの場所にあります。

山形自動車道の宮城川崎ICから国道286号線を山形方面へ、途中国道457号線を蔵王エコーライン方面へ15分。ひたすら上り坂が続きます。つづら折りのカーブを曲がりきると、青根温泉に到着です。

青根温泉より仙台市街地・太平洋方向をのぞむ

標高500mほどの高原にあり、晴れていると牡鹿半島や太平洋まで見渡すことができます。

蔵王エコーラインの入り口、ということもあり天空の中にある温泉という印象でした。

公衆浴場じゃっぽの湯

(仙台方面から)温泉に到着すると、国道457号線沿いには公衆浴場「じゃっぽの湯」の建物が見えます。

青根洋館

そして、「じゃっぽの湯」の向かい側には、レトロな洋館が建っています。この建物こそが今回の目的地、「青根洋館」です。

 

青根洋館の中に入ってみましょう!

ドアを開け、靴を脱いでスリッパに履き替えて中に入ります。まるでお洒落な洋風の一軒家のような間取り。玄関の目の前に階段があります。

階段のたもとには、「古賀メロディー「影を慕いて」発祥の地 青根温泉」と書かれた木製の看板が見えました。

2階に何があるのかが気になり、階段を上ります。

2階 古賀政男資料室~昭和を代表する作曲家と青根温泉の縁

青根温泉ゆかりの作曲家・古賀政男の資料室

2階にあるのは、「古賀政男資料室」

古賀政男は、昭和を代表する作曲家です『柔』『丘を越えて』など昭和歌謡史に残る、数多くのヒット曲を生み出しています。

彼が青根温泉とどのような縁で結ばれているのかというと…

その秘密は、大ヒット曲『影を慕いて』にあります。何とこの曲は昭和3年、彼が青根温泉に滞在した時の体験をもとに、作詞・作曲したものだったのです!

『影を慕いて』の楽譜、レコードが展示されている

資料室には、他にも彼が作曲した作品の、レコードや楽譜などが展示されています。ジャケットを見ていると、昭和に思いを馳せて、懐かしさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

資料室に隣接する一部屋には、かつての青根温泉の様子を描いた絵が数点、展示されています。窓の外の風景を見ながら、当時の様子を想像してしまいました。

また、2階には、細長い間取りのサンルームがあります。ラッキーなことに取材日は快晴!さんさんと日差しが降り注ぎ、気持ちが良かったです。

1階~自然を感じながらゆったりと過ごせる喫茶室

1階喫茶室。青根温泉や周辺観光地のパンフレットも置かれ、自由に手に取ることができる

1階に下りると、喫茶室があります。周辺の風景を眺めながら、コーヒーを飲んだり、ソフトクリームを食べたりと一休みできます。

取材日は7月下旬のお昼ごろ。のんびりとコーヒーを飲んでいたら、「ミーン」「ミーン」とセミの声が聞こえてきました。ゆったりと季節を感じることができました。

さらに正午を知らせる、軽快なメロディーが流れてきました。曲は古賀政男作曲の『丘を越えて』。青根温泉にいるという実感がわいてきました。

 

なぜ青根温泉に洋館が建てられたのか?

ではなぜ、この場所に洋館が建てられたのでしょうか?
青根洋館の指定管理者である、一般社団法人青根温泉区民の会の我妻さん(「じゃっぽの湯」支配人)に聞いてみました。

青根洋館の建物は、仙台市内の中心部にあったものが解体・移設されたものです。
元々の建物は、仙台市内のキリスト教の学校・東北学院が、来日した宣教師のために建てたものでした。明治末期築と言われています。

歴史を感じる建物

昭和34年、所有者の東北学院によって宣教師用住宅は、縁があった青根温泉に移築されます。移転先は、現在とは別の場所だったそう。

その後、建物は長年にわたり大学の施設として使われていました。ところが建物の老朽化が進み、利用休止に。

平成13年、建物は「建物の保存と、地域の活性化のため」東北学院から、川崎町に寄贈され、翌年、現在地に移転・復元された、という歴史を経て現在に至ります。

さらに、我妻さんに青根洋館の見どころを伺いました。

1階喫茶室のフローリング

まずは、建築当時の材料が使われているところがあること。

例えば、写真のフローリングもそのひとつです。長い年月を経た歴史の重みを感じつつも、しっかりと磨かれており、大切に守られてきたことが伝わってきます。

階段のランプ

もうひとつは、階段にあるランプ。ステンドグラスが使用されており、何と、古賀政男の邸宅で実際に使われていたものだそう。

洋館の雰囲気に溶け込んでいます。

まとめ

今までは外から見るだけだった「青根洋館」。初めて中に入り、建物や展示を見ていると昔にタイムスリップしたような気持になりました。

温泉街の中に建つ「青根洋館」の周辺には、温泉旅館や、公衆浴場「じゃっぽの湯」、そして「停車場の湯」など足湯もあります。

「温泉に入り、レトロな洋館にある休憩所で、ひとやすみ」。秋の休みの日に、そんなのんびりとした過ごし方は、いかがでしょうか?

公衆浴場じゃっぽの湯。何と源泉100%・かけ流し。 営業終了後には、お湯が毎日抜き変えられ、地域住民が4人態勢で館内の掃除をしているのだという。

※取材は2021年7月下旬に行っています。
※新型コロナウイルス感染拡大のため、お出かけの際は施設のホームページなどで最新情報をご確  認ください。また感染予防対策をしてお出かけください。

◎青根温泉 じゃっぽの湯 : https://japponoyu.jp/

施設詳細

【青根洋館】

住所:宮城県柴田郡川崎町青根温泉10-1

電話番号:0224-85-3122

営業時間:10:00~17:00(冬季:11月~3月は~16:00)

※喫茶の利用時間は10:00~15:30(冬季:11月~3月は15:00)ラストオーダー

定休日:年末年始

問合せ:「青根温泉区民の会」0224-87-2188(10:00~16:00)