こんにちは、学生時代陶芸部だったPOCHIです。
そのせいか、工芸品全般がとても好きです。そんなPOCHIが仙台に来て魅せられたものは色々あるのですが、断トツのナンバーワンは『松川だるま』なんです。
このオーラ!
青のパワーが魅力的だと思いませんか?本日は宮城の伝統工芸品である『松川だるま』をお伝えしたいと思います。
『松川だるま』は仙台張子の代表格
松川だるま
大空や海を表現した「群青色」で縁取られている松川だるまは、初めから「目」が入れられています。これは伊達政宗公の独眼に配慮したとも伝えられています。さらに「宝船」には「米俵」「大黒様」松竹梅の梅の枝を模した「寿」が描かれる等、様々な縁起が盛り込まれているのも特徴です。
時代が変わる中、可能な限り昔のままの材料や工程で制作された、こだわりの工芸品です。仙台張子
古くから親しまれてきた、「松川だるま」に代表される「仙台張子」。伊達藩の藩士 松川豊之進氏により武士の内職として創始されたと伝えられており、豪華絢爛なだるまとして全国に知られてきました。
「仙台張子」はその伝統的な手法によって作られ、仙台市民を古くから見守り親しまれてきた作品です。引用元:こけしのしまぬきHP
歴史深く、そしてとても美しい『仙台張子』の世界は、別の機会にたっぷりとご紹介したいと思いますので、本日は仙台張子の代表格である『松川だるま』をさらに詳しくご紹介したいと思います。
『松川だるまの由来』
実は『仙台張子』は、水害や冷害で農作物が採れなくなった天保の大飢饉(1833年から数年間)の際に、仙台藩士・松川豊之進が武士の内職として広めたと言われています。
つまり『約200年前の有事の際のお家時間』が由来しているのです。
「本郷だるま屋」さんの奥様が由来を語ってくださっている記事をみつけました
「天保の大飢饉って聞いたことないかしら。」
「あ、なんか、小学校の教科書で見た気がします。天保って何年前でしたっけ……。」
「1800年代のことなのよ。その時の伊達藩にはずーっと大雨が降っていて、農作物が全く採れなくなった。それで武士達は戦もしている場合ではなくなり、人々は祈るしかありませんでした。その時に、伊達家に仕えていた“松川豊之進”という人が中心となって、武士たちが作り始めたのが松川だるまの発祥と言われているの。なので、隣の工房でだるまを作っている私の主人の先祖は伊達藩の家来なんですよ。」
「え! 伊達藩の家来なんですか?」
「そうです。お墓は瑞鳳寺の中にありますよ。」
最初から両目に黒目が入っている松川だるまは、伊達藩発祥ということもあり、独眼であった伊達政宗公が「ものを作るときは両目を入れなさい」と部下に教えたからだそう。その教えを守り、今でも黒目を描けるのは武士の末裔(まつえい)の男性のみ。つまり、本郷だるま屋のご主人だけなのだ。
引用元:河北新報ウェブマガジン「BGM」
伊達藩の家来の方々が誇りと使命感を持って作ってきた大切なものであり、黒目が入ってこそ『松川だるま』の完成ですから、本郷だるま屋さんだけが作れるたいへん貴重な工芸品なんですね。
『松川だるま』の凄さ
200年間変わらぬ姿
作り方もデザインも、約200年前から何一つ変わっていない『松川だるま』には、創始者の凄みを感じてしまいます。
天保の大飢饉の中でも被害が甚大であった仙台藩。それを乗り越えようとした気合、そして困り果てる人々を思いやる強い思いが、顔のまわりの鮮やかな青色や胴体に描かれた宝船や福の神に現れているのかもしれません。
そんな『松川だるま』は現在本郷ご夫妻と職人さんのたった3名で作られているとのこと。
画像の引用元:河北新報ウェブマガジン「BGM」
完成前であっても『松川だるま』の一体一体から、コロナ状態の私達に「頑張れよ!」と聞こえてくるような気がしませんか?
8体揃えると『七転び八起き』!?
出世魚のように段々と大きくなる『松川だるま』を揃えることには意味がちゃんとあるらしく、厄や災いから逃れられるとも言われているとか。
天保の大飢饉が制作の由来になった『松川だるま』の七転び八起きには物凄い説得力があります。それ故、実は現在『松川だるま』はたいへん品薄なんだそうです。東日本大震災の際にもよく売れたということですが、頷けるお話ですね。
『松川だるま』販売店舗
本郷だるま屋 | 仙台市青葉区川平4-32-12 | 022-347-4837 |
こけしのしまぬき | 仙台市青葉区一番町3-1-17 | 022-223-2370 |
仙台市博物館ミュージアムショップ | 仙台市青葉区川内26 | 022-211-792 |
大崎八幡宮 | 仙台市青葉区八幡4-6-1 | 022-234-3606 |
東北スタンダードマーケット | 仙台市青葉区中央3-7-5 仙台パルコ2 5F | 022-797-8852 |
ただし、現在たいへん品薄とのことですし、新型コロナウィルス感染拡大の影響で営業時間や定休日の変更の可能性もありますので、お店にお問い合わせをした方が良い様です。
最後に
『松川だるま』から確かに聞こえてきたことを、言霊として最後にお伝えして記事を終わろうと思います。
*参考*